【森が育む自然】を知る絵本3選
森が育む自然を知るおすすめ絵本を紹介します。森と海のつながりや、森を育むための長い年月のことを知る貴重な絵本です。
1. 山に木を植えました
【絵本について】
スギヤマカナヨ 作 / 畠山重篤 監修(講談社)
講談社【山に木を植えました】紹介ページ
- 森から川・海への地球のつながりを知る
- 生物多様性を考えるきっかけに
- 「フルボ酸鉄」をとおして自然を科学的に知るきっかけに
気仙沼の漁師さんたちが山に植樹をはじめました。
「なぜ漁師さんが植樹を?」
じつは、森と海は切っても切り離せない関係。森の木々の枯葉が腐葉土になり、そこからしみでた「フルボ酸鉄」が、川を流れて海にたどりつきます。この「フルボ酸鉄」こそが海の生き物や海藻にとって大変重要な栄養です。
森から海へを語る上で、「フルボ酸鉄」が欠かせないことを知る科学の勉強にもなる絵本です。文字はやや小さめで説明が中心なので、小学中学年頃からがおすすめです。
2. えりも砂漠を昆布の森に
森が育てる豊かな海
【絵本について】
川嶋康男 文 / すずきもも 絵(絵本塾出版)
絵本塾出版【えりも砂漠を昆布の森に】紹介ページ
- 砂漠化した森を、ふたたび美しい森に戻す実話を描いた絵本
- 森と海がつながっているという地球のつながりを知る
- あたたみのあるイラストと、丁寧な説明でよく理解できる
えりも岬周辺は、江戸の頃から日高昆布の産地として有名でした。
明治時代になりストーブの燃料のため陸地の原生林が伐採されると、次第に海は赤くなり、ついには昆布がとれなくなってしまいました。
昭和28年から、地元の漁師さんと国が協力して、砂漠化してしまった「えりも砂漠」を森にもどす事業が始まりました。
最初は、効果が出ませんでしたが、地道な努力が実り、昭和50年代にはかつての海の青さが戻ってきました。ふたたび昆布も取れるようになったのです。
森が再生し、海が再生することを実感するドキュメンタリー絵本。一度失った自然を回復するには長い年月が必要だということも同時に知る絵本です。
3. 100さいの森
【絵本について】
松岡達英・著(講談社)
講談社【100さいの森】紹介ページ
- 東京・明治神宮に100年続く森のはなし
- 全国から集まった木々を植えて人工的に作られた森が、なぜ100年も続いているかそのひみつを知ることができる
- 自然の持つ力を信じて作られた森をとおして、生物多様性を考えるきっかけに
東京・明治神宮につくられた森のものがたり。
現在、明治神宮の森がある場所は、かつては荒野でした。そこへ、大きな森をつくろうという計画がおこり、全国から集まった木々を植えることにしました。
それは植えられた木々が、木自身の力で育ち、やがて100年後には自然の森林になるようにと、丁寧かつ綿密に計算してつくられた計画でした。
森が森であるためには、多くの年月と、森の自然の力と、そして人々の叡智と努力があるからこそだと実感する絵本です。